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音楽の旅

VOL.
02
   ジェフ・ベック「ワイアード」 2017.May

ジェフ・ベック「ワイアード」
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私ぐらいの年齢のロックファンなら、“ロック三大ギタリスト”といえば、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベックの名前がスラスラと出てくることだろう。中でも私は、ベックが贔屓だ。スピード感溢れるその演奏スタイルから、神髄を極めた者だけが持つ孤高さが伝わってくるからだ。

ベックが76年に発表した「ワイアード」は、前作「ブロウ・バイ・ブロウ」に続くロック・インストゥルメンタルの金字塔といえる名盤。昨年11月、発売40周年記念として、かつての4チャンネルステレオ音源をベースにリマスタリングが施された、世界初のSACDの発売も話題となった。プロデューサーは、前作に引き続きジョージ・マーティンが務めた。

ジェフ・ベック「ワイアード02

個人的には、「ブロウ~」よりも尖がったプレイが楽しめるので長年愛聴しているのだが、それは楽曲がバリエーションに富んでいることにも一因がある。ヤン・ハマーやマックス・ミドルトンによるシンセサイザー/クラヴィネットの旋律がギター的なフレーズを重ねることで、あたかもベックと丁丁発止のバトルを繰り広げているようにも聴こえ、多重録音を用いた「ブロウ~」に比べて、よりダイナミックかつワイルドに感じられるのだ。

そうしたアグレッシブなロックを聴く時、JVCのCLASS-Sのヘッドホン・ラインナップの中から選ぶとすれば、私は迷わず“SIGNA”「HA-SS01」を取る。新たに開発されたPEN振動板は、軽量かつ高強度な点が特徴で、ベックの精巧で奔放なプレイのディテイルを克明に浮かび上がらせてくれそうだ。

ジェフ・ベック「ワイアード03

また、ハウジング内部に中高域用バックキャビティを個別に設けた「シーケンシャル・ツイン・エンクロージャー」も、PEN振動板のハイレゾ対応力をしっかりサポートしてくれている。加えて、メインマグネットの前後にさらにマグネットを配した「トリプルマグネット」方式によって、細かなニュアンスの描写力も一段と高まっている。

1曲目の「レッド・ブーツ」から、「HA-SS01」の魅力全開だ。豪快なドラムのイントロに導かれ、左チャンネルのギターソロと右チャンネルのシンセサイザーがハードなリフの応酬を繰り返し、実にエキサイティングだ。 「HA-SS01」 は、このダイナミックな演奏を真に緻密 に再現してくれ、気分が次第に高揚していくようだ。くっきりと鋭利に立つギターのフレーズには、かつて何度シビれたことか…。

ジャズ・ベースの巨人チャールズ・ミンガス作のカヴァー曲「グッドバイ・ポーク・パイ・ハット」は、ジェフの名演のひとつに数えられるスローバラード。チョーキングやボリュームペダルなど、あらゆるギター奏法を駆使するメロディーとフレーズが私の頭内に強く響く。深いリヴァーブがイマジネーションを掻き立て、私をハードロックに夢中になっていた少年時代に一瞬にして誘ってくれるのである。

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