05 スタン・ゲッツ & ジョアン・ジルベルト「ゲッツ/ジルベルト」 2017.August
夏になると聴きたくなるラテンミュージック。トロピカリティに溢れたダンサブルな曲もいいが、ここは木陰で寛ぎながらゆったり聴きたくなるような、ヒーリング効果のある楽曲がいい。そんな気分にピッタリなのがボサノヴァだ。
1964年に発表された「ゲッツ/ジルベルト」は、ウェストコーストで活躍していたテナーサキソフォニストのスタン・ゲッツと、ブラジル音楽の父ジョアン・ジルベルトの共演盤。63年にニューヨークのA&Rレコーディングスタジオで録音された本盤のプロデューサーは、数多くの名盤を送り出した巨匠クリード・テイラー。後にプロデューサーとして大成するフィル・ラモーンが録音エンジニアを務めた。
録音当時にジョアンの妻であったアストラッド・ジルベルトが歌った「イパネマの娘」は、シングルカットされてビルボード全米5位を獲得。アメリカにおけるボサノヴァの人気を決定づけたといわれる。アルバム自体もグラミー賞の2部門(最優秀アルバム賞、最優秀エンジニア賞)を受賞した。
では、そんなボサノヴァをどこで聴くのがふさわしいか。通勤通学の車内では気分が乗らない。ここはやはり夏らしい避暑地がいい。海辺のビーチパラソルの下、あるいは山間のキャンプ場のハンモックといったシチュエーションで本作を聴くならば、オーバーヘッドタイプよりもインイヤー型の方が気楽。海水や汗で濡れた頭髪がヘッドバンドを汚す心配もない。「WOOD 03 inner(HA-FW03)」はいかがだろう。
軽量な口径10mm振動板は、従来よりも一段と薄型化に成功。細かなニュアンス描写とリニアリティ向上を果たした。これを収める筐体にも、自然な響きを発生するウッドハウジングと固有振動を抑制して解像度を向上させた「アコースティックピュリファイアー」等を採用し、音楽信号の品位を損なわないよう努めた。
ボサノヴァのリズムは、どこかまったりとした優しい雰囲気を持っている。サルサやサンバと違って激しくはないし、洗練されたムードと爽快さがある。「イパネマの娘」はまさにその典型といっていいのではないだろうか。
ナイロン弦ギターのイントロに導かれ、ジョアンがポルトガル語で1バースを歌う。2バース目は、アストラッドが英語で。その軽快なリズムはまさしく涼風のようで、間奏部のゲッツのテナーサックス・ソロがグッと張り出してくるところは実に爽快。「HA-FW03」はその様子を柔らかく、温かみのある雰囲気で再現する。
192kHz/24ビットで配信されている本ハイレゾ音源の本領発揮と思えたのは、T.4の「デザフィナード」だ。センターにジョアンのまろやかな声とギターが定位し、右にベース、左にピアノが配置された音場が、フワッとした広がりで再現される。イントロのテナーサックスの音色、質感も生々しい。
ぜひ貴方も音楽で味わう清涼感を楽しんでみてはいかがだろう。
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