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CLASS-Sなモノ・コト

VOL
03
   柳宗理デザインシリーズ 「キッチンツール」 2016.June

柳宗理デザインシリーズ「キッチンツール」

「CLASS-S」というコンセプトネームが付された、JVCのヘッドフォン4モデル。それらをデザインプロダクトとして眺めてみると、いつも思い浮かぶキーワードがある。

それは「静けさ」。

そのフォルムや色使い、パーツはどれひとつとして無駄がなく、華美な装飾とは全く無縁だ。日常の世界にすっくと佇み、あくまでも静かに音楽を待ち受けているようである。製品自体からは決して多くを語りかけてこない。

しかし、ひとたび触れれば、いかなるジャンルの楽曲も迎え入れ、僕らの耳を心地良く愉しませてくれる。そんなパワーを秘めているのだ。そう、佇まいの「静けさ」と、オーディオ製品としての「懐の深さ」とが結合しているのである。

柳宗理デザインシリーズ「キッチンツール」02

さて、今回は柳宗理(1915 - 2011)デザインによるキッチンツールを紹介したい。我が国の工業デザインのパイオニアのひとりである柳については、すでに多くの読者が知るところだろう。主な作品テーブルウェアから、バタフライスツール(MoMAの永久所蔵品)、東京オリンピックの聖火トーチホルダー、橋梁など物体や規模の大小を問わない作品群を残した。

このシリーズの誕生は1974年にまで遡る。鉄鋼の輸入販売などを手がける佐藤商事が柳に依頼。カトラリーやケトル、鍋などのステンレス製品を中心に展開中だ。新潟県燕市の工場で手作業によって製造されているという。

写真はボウル(φ19cm)とトング。ボウルはひじょうに柔和な曲線で構成されており、特に側面から底面にかけての丸みは、何度も触りたくなるほどの滑らかさだ。縁の部分もまたしかり。どこを触れても優しげな風合いがある。ステンレスという金属なのに全く不思議だ。また、適度な質量もあり、据わりも良く、中に入れた食材をラフに扱っても傾きにくい。

柳宗理デザインシリーズ「キッチンツール」03

ちなみに柳はデザインの過程において、まず石膏型を作成し、試作を使用してみることから始めたという。図面に起こすのはその後だ。普段使いのものこそそうあるべきだ、と。そんな姿勢は、ボウルやトングなどといった何気ない作品にも色濃く反映されている。使い勝手を追求した果てに見えてくるデザイン。シンプルな佇まいは、製品としての本質を突き詰めた結晶に他ならない。

そのフォルムは静けさを纏い、触れてみて初めてその懐の深さを知る。まさしくその部分に、CLASS-Sとの高い親和性が見出せる。

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