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CLASS-Sなモノ・コト

VOL.
08
   「ヴィスコンティ」万年筆 2016.November

「ヴィスコンティ」万年筆

CLASS-Sな逸品
「ヴィスコンティ」万年筆

「久しぶりに会いました。システム手帳を使っている人に」
先日、とあるICT系企業にお勤めの某氏にそう言われた。それまであまり意識をしなかったが、なるほど、周囲を見渡してみてもほとんどの知人がスマートフォンでスケジュール管理をしている。

ちなみに、僕が使用しているシステム手帳はこの連載の第一回で紹介した「イル・ビゾンテ」のものである。それにダイアリーはもちろん、罫線のみが引かれたメモ用リフィルが分厚く挟んでいる。そこに万年筆を使って、取材メモやアイデアスケッチ、オーディオ機器のインプレッションなどをカリカリと書き込んでゆくのだ。そして、それらを参照しながら、最終的にパソコンで原稿を仕上げる。このスタイルをもう20年くらい続けているのではないだろうか。

最近ではMacBook Airを持ち歩いているが、取材中に直接キーボードを叩くことはない。いちいち手書きメモを取って、後にパソコンで仕上げるのだから、非効率的と言われれば確かにそうだ。ただ、自分の手で紙に書き付けることで、一旦頭の中が整理され、また必要な事柄だけが濾過され、脳内に浸透してゆくような気がしている。それをパソコンと対峙しながらアウトプットするのだ。

「ヴィスコンティ」万年筆02

前置きが長くなったが、そんな行為をより特別なものしてくれるのが万年筆の存在である。これまでもパーカーやペリカン、シェーファーなどを愛用して来た(いずれもお手頃価格のもの)。ところが、今から数年前のことだろうか、ふと気になったが、このヴィスコンティである。

まず、このブランド名に惹かれた。なにしろ、あの偉大な映画監督と同じなのだから。そこで調べてみたところ、設立は1988年フィレンツェにて。他の老舗ブランドと比べると歴史はまだ浅い(映画監督とも直接は関係なさそうだ…)。ただ、ヴィンテージ万年筆を徹底的に研究し、その風合いを現代の技術を活用しながら、独自のスタイルを生み出している。現在では、2002年に行われたNATO-ロシアサミットにおいて冷戦の終結を示す署名用に使用されたのを始め、世界の重要な式典においても数多く姿を見せるようになっているという。

ラインアップは、手作りで華麗な装飾が施される限定生産モデルから、軽量設計で使いやすいレギュラーラインまで幅広い。ここで紹介するのは「レンブラント」シリーズのカーキグリーンモデル。軸に軽く耐久性も高いレジンを使用、ペン先はスチールで、上位モデルのエッセンスを継承しながらカジュアルに使える設計としている。特に軸はうっすらと緑と黒のマーブル模様が浮かび上がり、このテイストは他ブランドにはあまり見られないものだ。書き味も紙への適度な引っかかりがあり、文字が過度に流れてゆかない。また、キャップの着脱はスクリュー式ではなく、マグネットを仕込むことでワンタッチで可能にした。とっさにメモしたい際に重宝する。

「ヴィスコンティ」万年筆03

このようにツールに物語があり、それに裏打ちされた品質が高ければ高いほど、それを通して行う行為が無論、楽しくなる。快感が増す。いかなるジャンルにおいても同じだろう。感性のエリアに訴えかける音楽ならばなおさらだ。

その点で、CLASS-Sの製品群は、多くのユーザーの信頼を既にがっちりと獲得しているはずだ。斬新な発想を高い技術力で具現化し、そして決して派手にならないサウンドとルックスにまとめあげているからだ。

ゆえに、音楽との何気ない触れ合いを特別なものにしてくれる。それは、新たにラインアップされたインナーイヤーヘッドホン及びヘッドホンケーブル、さらにポータブルアンプにも共通していることが確認できた。揺るぎない思想が通底しているのだ。

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