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CLASS-Sなモノ・コト

VOL
17
   線香花火 筒井時正「花々」 2017.August

「花々」線香花火 筒井時正(筒井時正玩具花火製造所)

CLASS-Sな逸品
線香花火 筒井時正「花々」(筒井時正玩具花火製造所)

日本の夏の風物詩、花火。夜空に大輪の華を咲かせる打ち上げ花火から、家族や気が置けない仲間と楽しむ手持ち花火まで、さまざまな花火が長年に渡って親しまれ、我々の生活を彩ってきた。

今回紹介する筒井時正玩具花火製造所は、いまでは非常に希少な国産線香花火の製造所。子供向け玩具花火の製造所として1929年(昭和4年)から約90年の歴史を持っている。

「花々」線香花火 筒井時正(筒井時正玩具花火製造所)

実は、日本の線香花火には絶滅の危機が訪れていた。1999年、当時日本で唯一、線香花火をつくっていた製造所が廃業することになったのだ。そのピンチに立ち上がったのが、筒井時正玩具花火製造所の3代目、筒井良太氏。その線香花火製造所へ弟子入りし、すべてを引き継いだことで国産線香花火の製造技術が継承されたのである。

しかしただ伝統を守っているだけではないのが興味深い。 『線香花火 筒井時正』 は、火薬に宮崎産の松煙、紙は福岡県八女市の手すき和紙を使用。その和紙を草木染めで染色し、職人の手によって一本一本丁寧に縒り上げている。そして写真の「花々(はなはな)」では線香花火の持ち手部分を花びらのように仕上げ、それを束ねることで「花」を表現している。なんとも粋ではないか。

「花々」線香花火 筒井時正(筒井時正玩具花火製造所)

線香花火は4つの表情を持っている。点火して火の玉がどんどん大きくなっていく“蕾”、力強い火花が散り出す“牡丹”、より一層激しく火花を散らす“松葉”、そして終わりに向かって火花が一本、また一本と落ちていく“散り菊”だ。『線香花火 筒井時正』は、この4つの表情をじっくりと堪能できる。安価な外国産線香花火では決して味わえない、なんとも贅沢な十数秒である。

わずか十秒ちょっとの間に様々な表情を見せる起承転結、そしてそんな火花がスッと消えゆく姿は、一音一音の消え入り方までしっかり堪能できる極上のハイレゾ音源に通じるものがある。職人が徹底的にこだわってつくっているという点も含め、この『線香花火 筒井時正』にはCLASS-Sシリーズと共通する志を感じた次第だ。今夜は、お気に入りのあの曲をあらためてCLASS-Sでしっとりと楽しんでみようか。

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