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音楽の旅

VOL.
04
   ドゥービー・ブラザーズ「ミニット・バイ・ミニット」 2017.July

ドゥービー・ブラザーズ「ミニット・バイ・ミニット」
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1971年にデビューし、ウェストコーストを代表するロックバンドとして70年代を席巻したドゥービー・ブラザーズ。西海岸特有の渇いたハードロックに、フォーク/カントリーを織り交ぜた音楽スタイルは、後にツインギター/ツインドラムに発展してリズムを強化し、73年の「キャプテン・アンド・ミー」以降は、さらにファンキーな路線にシフトした。

しかし、バンドの黄金期は70年代後半に図らずとも訪れる。リーダー格であったギター&ヴォーカルのトム・ジョンストンが健康悪化を理由に脱退し、代わりにスティーリー・ダンのサポートメンバーだったマイケル・マクドナルドが加入。78年にリリースしたアルバム「ミニット・バイ・ミニット」からのシングルカット「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」が全米1位を獲得すると共に、グラミーの最優秀楽曲賞を含む2部門を制覇、一躍人気グループに躍り出たのだ。

ドゥービー・ブラザーズ「ミニット・バイ・ミニット」

リードヴォーカルの交替は、良くも悪くもバンド全体の方向性を左右する。マクドナルドの加入は、それまでのドゥービーのワイルドな音楽性を、都会的で洗練されたAOR色の強いものに変えた。そうして古くからのファンが離れた一方で、新しいファンも獲得したのだった。

「ミニット・バイ・ミニット」のハイレゾ音源は、おそらくは良質のアナログマスターが残っていたと思われ、2016年リマスターの192kHz/24ビットが配信されている。今回はそのポテンシャルを余すところなく引き出そうと、ポータブルヘッドホンアンプ「SU-AX01」を持ち出した。

ドゥービー・ブラザーズ「ミニット・バイ・ミニット」

DAC-IC以降のアナログ回路をフルバランス構成とした「SU-AX01」 は、ハイスピード電流帰還ディスクリートアンプの採用も相まって、高い解像力と立体的な空間再現に長けている。

さらに今回は、本機の性能をフルに発揮させることができる「ハイインテンシティモード」で試聴しよう。この動作状態は、外部電源接続という前提ながら、専用電源での駆動によってより高音質が期待できるもの。イヤホンには、ハウジングの響きを最適化した新開発ウッドスタビライザーを搭載する“WOOD 02 inner(HA-FW02)”を用い、別売のバランスケーブルを準備して 「SU-AX01」 とバランス接続で試聴することにした。

ドゥービー・ブラザーズ「ミニット・バイ・ミニット」

「ハイインテンシティモード」に切替えた(インジケーターが青色に点灯)サウンドは ローエンドの力強さのアップと、左右のセパレーション向上による音場の広がりが印象的だ。「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」では、ダブルドラムの強力なビートにプッシュされ、独特のファルセットを操るマイケルの声がくっきり迫り出す。その濃密なグルーヴ感は、「ハイインテンシティモード」によって齎らされたものである。 

「轍を見つめて」は、本アルバム中で最も初期のスタイルに近いサザンロック風のワイルドな楽曲。印象的なギターリフによってグイグイと引っ張られるようなドライブ感溢れるサウンドに、思わず体が動いてしまう。コンパクトな「SU-AX01」だが、その内部には“熱いもの”がたぎっているのを感じた。

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