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Vol.07「映像のまち・かわさき」推進フォーラム 寺川小百合さん
Vol.06

「映像のまち・かわさき」推進フォーラム 寺川小百合さん

人を育てる? 「メディア社会を生きる力 × 映像」

「小学生」が「学校の授業」で「映画をつくる」と聞き、見学させていただいたときのこと
真剣な目でカメラを扱う子どもたちの姿がとても印象的でした。
生まれ育った川崎を映像で盛り上げたい!
そんな寺川小百合さんに、メディア社会を生きる力を身につけるための
『映像制作授業』についてお話をうかがいました!

はじめまして!「映像のまち・かわさき」推進フォーラム 事務局の寺川小百合です。
川崎生まれ川崎育ちの私は、地元・川崎を映像で盛り上げる仕事をしています。
自分の生まれた街を盛り上げるという仕事ができていることはとても幸せなことだと感じています。

私の勤める「映像のまち・かわさき」推進フォーラム(以下、フォーラム)は、映像制作を通じた人材育成の取組や、映像関連のイベント等を実施することで、川崎の魅力を発信し、地域を盛り上げる活動をしています。
川崎は映画館の数が多かったり、日本で唯一の映画の単科大学があったり、色々な映像制作品の撮影が市内各所で行われていたりと、実は「映像」とは深い繋がりがあります。

私が「映像のまち・かわさき」に携わって初めての仕事は、川崎大師の商店街に3年間限定でオープンした「映像のまち・かわさき」のアンテナショップ、「かわさき大師 映まちキネマハウス(以下、キネマハウス)」の運営でした。
映像に関連した展示や、商店街活性化のイベントを町の人と一緒に企画をしたり。と、非常に楽しかったです。
残念ながらキネマハウスが閉館になってからは、川崎市の「ロケ誘致事業」の電話窓口担当を経て、フォーラムの事務局担当になりました。

フォーラムには3つの柱があります。
今回はその中から「人材育成」をご紹介したいと思います。
「人材育成」では、学校の授業の中で映像をつくり、映像を見て理解する力や、コミュニケーション力などを育む「映像制作授業」を支援しています。

「小学校映像制作授業」が始まったのは2007年。
現在は、川中島小学校では、自分たちで台本を考えたオリジナル映画の制作。
京町小学校・東門前小学校ではもう少し短めの学校紹介等の作品を作っています。
この3校にはプロの映画監督である土持幸三監督が講師に。
キネマハウスを拠点に活動していたシニアの映像サークル、「かわさきキネマサークル」がサポートボランティアとして携わり、この授業を支えてくださっています。
私は学校と講師・ボランティアさんを繋ぐ役目をしています。

映像の基礎講座・・・わかりやすい映像とは何か?の講義、何を作るかの企画、絵コンテ制作です。
講師の土持監督は、最初の授業で必ず駅の『引き』の写真を見せます。
そして「この場所がわかる人いますか?」とこどもたちに問います。
こどもたちは口々に駅名を言いますが、正解は出ません。
次に駅の『アップ』の写真を見せます。
すると、そこには駅の名前が書いてある看板が出ていて、こどもたちは正解を言います。
でも、監督は引きの写真でもどこの写真かわかると言います。
それは、監督が住んでいる駅だからです。

「僕は毎日通っているからすぐわかるけど、君たちは行ったことがないからわからない。
だから、映像を作るときはみんなわかるだろうと思って作っちゃダメなんだ。
みんなの作品を見る人の中には、この学校のことを全然知らない人もいるかもしれない。
その人にもここがどこかがわかるように、アップとルーズ(引き)の映像を両方撮って、交互に見せることがわかりやすい映像を作ることなんだよ。」
このことを聞いたこどもたちはちゃんとアップとルーズを撮るようになり、作品のクオリティがグンと上がりました。
皆様も映像を撮る際には是非試してみてください!

カメラ操作を学び、こどもたちは各班に分かれて、ビデオカメラや三脚を持って教室を飛び出します!
一見簡単そうに見えますが、グループで1つの作品を作るのは意外と大変です。
カメラの使い方が難しい・・・という技術的なところではなく、チームワークがとても大事。
班員全員が同じ方向を向き、同じゴールを見ていないと時間内には終わりません。
つまりは、よい作品には仕上がらないのです。
こどもたちは直感的にそれを感じ、楽しみながらも、自然とお互いの意見をすり合わせて、時間内に進めていくことを覚えていきます。
そういった成長を感じられるところが、この取り組みが定着している証拠です。

ある学校でのエピソードですが、編集授業の際に“撮影した映像が足りない!”という緊急事態が起こった時、普段の学習ではあまり発言をしない子が、「あの時こんな映像を撮ったから、それを使えば大丈夫!」と積極的に発言したそうです。
それを見た担任の先生が「学校の授業では引き出せないものが引き出せた」と、とても驚いていました。

また、保護者の方からは「家に帰ってきて、今日は撮影をして楽しかったとか映像授業の話しをたくさんしてくれるので、よほど楽しいのだと思います。」という感想もいただいたことがあります。

東門前小学校5年生の作品 「稲荷神社って?」

今年度は中学校でも長期映像制作授業が実施されました。玉川中学校です。
夏休みを挟んで約3か月で、3つの班に分かれて映画を作って発表しました。
1~3年生が学年関係なく班に分かれるため、はじめは緊張感が漂っていましたが、最後の感想では、「学年を超えて意見を言い合えたことがよかった。」と何人も話してくれました。
こうしてコミュニケーション力がついていくのですね。

現在、川崎市内の小・中学校では短期間の映像制作授業・ワークショップも含めて年10件以上行われていて、現在も問合せはどんどん増えています!
メディア社会を生きる力を身に付ける。
今後も、「映像のまち・かわさき」の「映像制作授業」にご期待ください!

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