エブリオな人たち

Vol.09「BC(バルーンクラブ)風の谷」パイロット石原十四郎さん
Vol.09

「BC(バルーンクラブ)風の谷」パイロット 石原 十四郎さん

空に魅せられた人にとって 『バルーンの魅力×映像』 とは

子供の頃、空を飛ぶ夢を見ていつも思っていた。
「もっと高く、もっと長く飛びたい!」
大人になってバルーンと出会い、以来、30年空を飛び続けている。
そんな石原さんに『バルーンの魅力×映像』という視点でお話をうかがいました!

「30年ほど前、バイクに乗って群れていたんですよ。そしたら、“ゴゴゴ”と音がするのでパッと上の方を見たら、バルーンが4.5機飛んでいたんです。空気が澄んでてね、空を飛んだら気持ちが良いだろうなーと思ってですね、それからバイクをやめてバルーン一筋です。」
パイロットの石原さんは、クルーから「石原先生」と呼ばれています。もとは高校や塾の先生をされていましたが、今はパイロット志望者の指導にあたりながら、ご自身もパイロットとして毎年佐賀市で行われる大会に参加しています。

今日は大会前の練習にお邪魔しました。佐賀県佐賀市の嘉瀬川河川敷に朝6時集合、夜明け前の暗闇のなか、上空の風を計測します。飛べる!ということで早速準備にとりかかります。周りでも10機ほどのバルーンが準備をはじめました。今回は、エブリオをフレームに固定し、上空から撮影します。

巨大な送風機で球皮に空気を送りこみます。ある程度膨らんできたら今度はバーナーで点火すると、ふわふわっと球皮が立ち上がります。バスケットに乗り込んで、バーナーを「ゴー、ゴー」っと断続的に燃やして離陸です。周りのバルーンも一斉に飛び立ちます。
バルーンの進む方向は風まかせ。上空では、高さによって風の向きが違うため、バーナーを点火するタイミングや燃やす時間を調整して、気球を上下させて、風を上手に掴みながら自分の行きたい方向へ進んでいきます。

佐賀 BC(バルーンクラブ)風の谷

佐賀でバルーンが盛んな理由は、平坦な地形で気流が安定しているからです。毎年秋に行われている佐賀インターナショナルバルーンフェスタは、世界各国から選手が集まるアジア最大級の熱気球大会で、期間中は朝晩、バルーンが空いっぱいに広がり、見ている人に感動を与えてくれます。

着地する場所は慎重に選ばなければなりません。平地や濡れていないところを選ばないと、着地の時にバウンドし、地面に叩きつけられて怪我をするからです。また、田畑の地主さんに迷惑をかけないよう、あぜ道に降りるなどの配慮も必要です。

大会の日にやってきました。バルーンの競技は、約15~20種類ほどありますが、「ターゲット」や「ゴール」と呼ばれる目標地点に向かって「マーカー」と呼ばれる砂袋を投下することが競技の基本です。決められた時間内にいかに正確にマーカーを投下できるかを競います。石原さんは、飛行経路を確認し、位置情報をパソコンに入力しています。

スタッフは地上から無線でパイロットをサポートします。離陸したら車で追跡し、先にターゲットに到着し、具体的な場所や風の状況を無線で伝え誘導します。落としたマーカーとターゲットまでの距離を計測し、マーカーの回収も自分たちで行います。

2002年5月 日本アルプス超えフライト。当時はJR 九州がスポンサーでした。

石原さんの原則は、「基本に忠実」。事故が起きたら楽しいフライトにならないからです。これまでにアドベンチャーフライトという、通常のフライトと違う、空の冒険もされてきました。日本アルプス横断6回、琵琶湖横断3回、有明海横断3回。

2003年5月 飛騨山脈(北アルプス)の穂高連峰

一番楽しかったというのは、アルプス超えで、中央アルプス、北アルプス、南アルプス、とアルプスを全制覇しました。だいたい北アルプスが中心で、岐阜県北部から槍ヶ岳や穂高岳を越えて、長野県の松本盆地を目指します。山の高さが3000メートルを超えるので、巻き込まれないようにする高さは1.5倍、大体4500メートル以上で飛びます。スピードは早いときは100キロ!バルーンはゆったりとした見た目とは裏腹に、意外とハードなスポーツです。

佐賀 BC(バルーンクラブ)風の谷 2016吉野ケ里 夜間係留

毎年12月に吉野ケ里歴史公園でバルーン競技が行われます。夜間係留「ナイトグロー」では、バスケットに乗ったりバーナーを点火する体験ができます。

石原さんが育てたバルーンパイロットはこれまでに4名で、現在は後継者となる5人目を指導中です。「たまには上(空)に行きたいけど、下から見ても楽しいから、メンバーには早く免許をとってもらいたい」と話します。BC風の谷のメンバーは、この日お話を伺った、石原さん、佐藤さん、島内さん、小林さん以外に数名いらっしゃいます。みなさんバルーンが好きで繋がっています。
バルーンパイロットは16歳から訓練ができて、18歳から免許を取ることが可能です。佐賀には、熱気球を所有し大会に出場している高校もあります。石原さんは、佐賀のバルーンがより盛り上がることを期待して今年も大会に出場します。
制作:BECK DESIGN STUDIO

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