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開発者が語る GS-TD1こだわりの技術 vol.2 3Dサウンドへのこだわり

2本のスピーカーで3Dサウンドを実現!

"音も3Dで撮れるビデオカメラ"

一概に3Dビデオカメラと言っても、映像だけじゃなく音も3Dだったらこれは面白いぞ、と思いました。
そこからまず、どういうかたちでお客様に3Dサウンドを楽しんでもらうことが魅力的か、ということを考えると、5.1chサラウンドを使った3Dサウンドでは、専用のデコーダ機器が必要ですし、設置スペースも大掛かりです。視聴は3Dテレビがメインですから、やはり2chスピーカーで3Dサウンドを実現することに大きな価値があるなと思いました。さらに、記録時に3Dサウンド処理をすることで、DVDにアーカイブして人にあげた場合でも、どこにでもある2chスピーカー視聴環境があれば、3Dサウンドが楽しめます。そういう背景があって、2chスピーカーでの3Dサウンドの実現にこだわりました。

JVCが独自に開発した、バイフォニック技術

バイフォニック再生処理イメージ図

2chスピーカーでの3Dサウンドの実現には課題があって、2本のスピーカーで再生する場合、例えば右のスピーカーからの音は右耳だけでなく左耳にも入ってしまいます。これをクロストークと呼んでますが、せっかく理想的な音声を記録できても、再生の段階でクロストークが発生して、音の定位感が損なわれてしまうんですね。

このクロストークをキャンセルするためにJVCで開発したバイフォニック技術を使っています。そうすることで、スピーカーで聴いている音声が、ヘッドホンのようにLchに記録された音声は左耳だけで、Rchに記録された音声は右耳だけで聴くことができ、音の広がり感の再現が可能になるわけです。これを記録の段階で行っているので、アーカイブ先の再生環境でも3Dサウンド効果が得られます。

スピーカーよりも外側から音が聴こえる

従来のステレオスピーカーって、どうしても左右のスピーカーの間(内側)だけの範囲で音が鳴っているように聴こえるんですね。これがバイフォニック3Dサウンドでは、スピーカーの外側から音が聴こえてくるんですよ。良い意味で、スピーカーから音が鳴っていない感覚というか、テレビ画面より一回り大きい半球のいろいろなところから音が聴こえてきて、奥行き感がわかります。記録したときの空間をより忠実に再現できるんですよね。

飛行機が頭上を飛んでいくような感覚

今回の3Dサウンド技術の大きな特徴として、上下方向の音の定位感も再現できます。
いくつかの雑誌社や評論家の方々に3Dサウンドのデモを聴いていただきましたが、特に飛行機が飛んでいるシーンでは、頭上から飛行音が聴こえるという感想が多くて、評判が良かったんですよ。これは5.1chサラウンドにはない、TD1が持っている3Dサウンドの強みだと思います。

マイクのヒミツ1-耳で聞いた音そのままを記録するために

3Dサウンドを実現するには、人が実際に聴いているのと同じ特性を持った音声をどういったかたちで収音するか、ということも課題でした。
イヤホンタイプのバイノーラルマイクなどもあるのですが、それを装着しながらの撮影はお客様にとっては煩わしい。やはりビデオカメラの内蔵マイクでそれを実現しなければと思いました。
そこで、等身大の人の頭と耳にマイクを備えたダミーヘッドを使って、まずは人が聴いている音声の特性を調べました。社内外のあちこちに持ち出して録音していたのですが、見た目は人の頭そのものなので「何やってんだ?」って視線でジロジロ見られていましたね。

いろいろ調べていくうちに、左右マイクの十分な音の音圧差、時間差の情報が重要なパラメータであることがわかってきました。
従来のビデオカメラ内蔵マイクの配置では左右のマイクが近接していて、なかなかそれを得ることは難しく、それぞれ、ほぼ同じ特性の音声になってしまうんですね。

TD1のような2眼のカメラではレンズ間の幅分、横幅が広くなるので、これをどうにか音響的なメリットに活用できないかと考えました。マイクの距離や向きが変えられる試作機を作って、適切なマイク配置を検討した結果、レンズの両サイドにマイクを配置し、周辺の形状を耳の形(耳介)にアレンジすることで、理想的な音響特性を得ることができました。

マイクをレンズの横につけた分、ビデオカメラ全体の横幅がさらに広くなるので、デザインのハードルを上げてしまいましたが、デザイナーの方の尽力で、理想的な音響特性が得られる形状にすることができました。

マイクのヒミツ2-高音質マイクの採用

実は、TD1ではICレコーダーに搭載されている高音質マイクを使っているんですよ。 24bit/96kHzサンプリングでLPCM記録のICレコーダーに対応しているマイクなので、高いS/Nで高音質な音声が収音できます。これは音の残響感なんかを記録するのにも有利で、音源との距離感を再現する上では重要な要素なんですね。 無理な要求を言って、デザイナーの方をはじめ、多くの方がこの3Dサウンドを実現するために尽力いただいていたので、3Dサウンド効果では絶対妥協できないという気持ちもあって、 どのマイクが理想的か、というマイク選定にも徹底的にこだわりました。 このマイクを採用するに当たって、課題が多々あったのですが、マイクメーカーの技術部に自ら直接伺って、いろいろやりとりをして解決していった分、マイクに対する思い入れは強いです。
この話、ぜひ掲載してください(笑)

3Dサウンドの楽しみ方

野外の撮影をおすすめします。野外のほうが、より360度あらゆる方向から音が鳴ってくるので、再生したときのウワっていう広がり感や音の厚み、臨場感といったインパクトが大きいんですよ。また、3Dサウンドは音の広がり感を再現するので、視野範囲を狭めるようなズームはあまり使わずに、広角側で撮ったほうが3D映像との相性が良いですね。

観るときは、市販の3Dテレビで推奨されている視聴距離で、左右のスピーカーの中央、テレビの真正面で視聴することをオススメします。より3Dサウンド効果が実感できますよ。PC環境でも2chスピーカーであれば、十分に3Dサウンドを楽しめます。

最後にひと言

これまでTD1のデモをしてきて、お客様がモニター映像に手を伸ばしたりしているのを見ると、「映像や音を体感する」という楽しさがあるなと思いました。是非、ただ観る・聴くという感じではなく、体感していただきたいですね。「体感する」楽しさがTD1を通じてお客様に伝わればいいなと思います。

ちなみに、バイフォニック3Dサウンドサンプルムービーでギターを弾いてる奴は、、、私です。何故、その日に限って赤い靴下を履いてしまったのかは、思い出せません・・・。


バイフォニック3Dサウンドサンプルムービー

サンプル1
サンプル2

※ヘッドフォンではなく、2chのスピーカーを使って再生して下さい。
・サンプル1 飛行機(上方の定位感):「上方の位置から聴こえる飛行機の音に注目してください」
・サンプル2 ギター(横方向の広がり感、定位感):「ギターの音がより広がって聴こえることと、弾いてる位置による音の推移に注目してください」


vol.1 快適な3D映像実現へのこだわり