ホーム > 報道資料 > 報道資料 2010年 > 次世代ハイスピード・プロセッサー

次世代ハイスピード・プロセッサー

2010年12月14日 報道発表


業界初※1「動画と静止画両方の高速※2信号処理」をワンチップで実現

「HDカメラ用 次世代ハイスピード・プロセッサー(LSI)」
を開発


■ ハイスピード信号処理により、次世代3D映像・4K2K映像・高速静止画撮影に対応
■映像処理機能を集約、高性能・低消費電力・ローコスト設計
■LSI プラットフォームを統一、効率的な商品化と迅速な市場投入を実現



< HDカメラ用 次世代ハイスピード・プロセッサー >


 ビクター・JVC は、次世代の高精細HDカメラ用の技術として、業界で初めて※1 「動画および静止画両方の高速信号処理」をワンチップで実現することで、「フルHDの3D映像」「4K2K映像」「高速静止画」の撮影を可能にしたLSI 「HDカメラ用 次世代ハイスピード・プロセッサー(LSI )」を開発しました。
 本LSI は、フルHDの2Dおよび3D映像から、フルHDの約4倍にあたる4K2Kの超高精細映像まで映像信号をハイスピードで処理し、リアルタイムでの撮影・記録を可能にします。また、HDカメラで必要とされるカメラ信号処理、動画静止画圧縮伸張(コーデック)処理、各種インターフェースなど映像処理機能を本LSI に集約させることで、高性能、低消費電力、ローコストを同時に実現させました。
 当社は今後、本機を民生用および業務用のカメラ機器に広く搭載し、LSI プラットフォームを統一します。これにより、LSI の製造コストダウンと商品の開発期間短縮を図り、ビデオカメラ商品の迅速な市場投入を実現します。
 なお、本LSI を搭載した民生用ビデオカメラは来月、米国ラスベガスで開催される「2011 INTERNATIONAL CES」(会期:2011年1月6日~9日)に参考出展します。

※1 : 2010年12月14日現在、家庭用ビデオカメラ用技術として(当社調べ)
※2 : 動画:207万画素(1920×1080)を60フレーム処理で動画圧縮可能  静止画:830万画素(3840×2160)を60フレーム処理で静止画圧縮可能


ページの先頭へ戻ります

本LSIの主な特長

1.ハイスピード信号処理により、フルHD3D映像や4K2K映像、高速静止画の撮影・記録を実現

本LSI は、ビデオカメラにとって重要な「カメラ信号処理」「動画圧縮処理」「静止画圧縮処理」の3つの映像信号を個別にハイスピードで処理し、高精細なフルHDの2D映像はもとより、フルHDの3D映像や4K2K映像、高速静止画といった次世代の高精細映像のリアルタイム撮影・記録が可能です。また、従来の※3LSI 内部の信号処理を全面的に見直すとともに、3つの信号処理を支えるCPUの能力も向上させました。

■信号処理技術の詳細

  • 「カメラ信号処理」: カメラ信号の処理スピードを従来比※3 1.7 倍に向上、最大で830万画素を60フレーム/秒で処理が可能。
  • 「動画圧縮処理」: H.264 コーデック処理スピードを従来比※3 2倍に向上、最大で207万画素動画を60フレーム/秒で圧縮が可能。
  • 「静止画圧縮処理」: JPEGエンコーダ処理スピードを従来比※3 5.5 倍に向上、最大で830万画素静止画を60フレーム/秒で圧縮可能。
  • LSI 内部の信号処理を一から見直し、高画素動画記録を妨げる画像処理スピードのボトルネックを徹底的に排除。
  • 同3つの信号処理技術を支えるCPUの処理能力も従来比※3 2.7倍を実現。

   ※3 : 当社先行カメラ用LSI との比較において。

信号処理技術の説明図


2.最先端の「40nmプロセス」を採用、高機能化・低消費電力化・ローコスト化を同時に実現

HDカメラで必要となるカメラ信号処理、映像・音声コーデック処理、各種インターフェース回路をLSIひとつに集約。最先端の「40nmプロセス」を採用し、高性能・高機能化とともに、低消費電力化(当社従来比※3 40%ダウン)とローコスト化(当社従来比※3 50%のシステムコストダウン)を実現。高度なLSI を当社民生用商品はもちろん、業務用商品まで幅広く展開できるようになります。 


3.ビデオカメラ全商品のLSI プラットフォームを統一でき、効率的な商品化と迅速な市場投入を実現

本LSI により、当社の全ビデオカメラ商品のハードウェア(LSI )およびソフトウェアのプラットフォームを統一できるようになります。民生用から業務用カメラまで、本LSI ひとつのシステムで実現できるため、商品化までの期間を大幅に短縮し、商品の迅速かつ最適な市場投入を実現します。


ページの先頭へ戻ります

開発背景

 テレビやビデオカメラを中心にハイビジョン化が進捗し、家庭で美しいハイビジョン映像を気軽に楽しめるようになりました。従来は次世代技術と考えられていた「3D映像」も、今や続々と民生用の商品が市場に登場する状況になっています。
 当社は、家庭向けの映像表示技術はさらに、4K2Kクラスのより高精細な映像に対応する方向へと進んでいくと考えています。したがって今後は、表示技術そのものはもちろん、それらの映像を、より高度に高速処理する技術が必要となります。
 そこで当社は、業界に先駆けて本LSI を開発し、ビデオカメラ商品における次世代映像の処理技術において、他社を一歩リードします。また、本LSI を搭載した民生用/業務用ビデオカメラをいちはやく市場投入し、最新技術を求めるユーザーのニーズに応えるとともに、最先端の映像音声技術を搭載した次世代の商品を提供します。


ページの先頭へ戻ります

技術資料

1.当社のビデオカメラ用LSIの変遷

当社はこれまで、数多くのデジタルデータの圧縮符号化技術に取り組み、映像コンテンツ制作の分野で高い評価を得ています。これを基に2007年春、民生商品向けの高画質画像処理エンジンとして当社初となる「HDギガブリッド」を開発。ハードディスクムービー“Everio”「GZ-HD7」(2007年3月発売)に搭載し、家庭用ビデオカメラとして世界初の1920フルハイビジョン記録を実現しました。その後も、家庭用ビデオカメラのさらなる高画質化を図り、「HDギガブリッドDuo」、「HDギガブリッドPremium」、 といった画像処理エンジンを開発。搭載商品は、多くのユーザーから高く評価していただいています。


ビデオカメラ用LSIの変遷説明図


2.本技術の詳細解説

< 3D処理イメージ図 >

①3D映像への対応
左右の独立したセンサーから入力された2 つのフルHD(1920×1080 画素/60p)映像を、3D対応の画像圧縮フォーマット「MPEG-4 MVC※4」でリアルタイムエンコード処理します。従来のビデオカメラの「Side-by-Side」での3D記録方式に対して2倍の情報量となるため、高精細なフルHD3D映像を1チップで提供できます。

※4 : 「MPEG-4 MVC」
ISO/IEC 14496-10 Annex Hで規定されるMPEG-4 AVCの拡張規格であるMVC(Multiview Video Coding)。MVCでは左眼用の映像を基本映像として符号化し、左右の映像の相関を利用して右目用の映像を符号化することにより、符号化効率の向上を図り高画質を実現。また、基本映像は従来のAVC規格と互換性があります。


②4K2K映像への対応
フルハイビジョンの4倍画素数を持つ4K2K映像 (3840画素×2160画素/60p)を撮影する高精細カメラのシステムを構成できます。


③動画記録中でも高画素静止画の同時記録が可能
ハイスピードカメラ処理回路とハイスピードJPEGエンジンを搭載することで、フルハイビジョン動画記録中でも830万画素の静止画を60枚/秒で同時に記録することが可能です。


④2D記録モードだけでなく3D記録モードでも高速フレームの動画記録が可能
ハイスピード動画コーデックを搭載することで、3D記録モード時でも300フレームの高速動画記録が可能です。


ページの先頭へ戻ります

関連情報

ページの先頭へ戻ります

お問い合わせ


ページの先頭へ戻ります
[2010年12月14日]