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音楽の旅

VOL.
03
   リンダ・ロンシュタット「クライ・ライク・ア・レインストーム」 2017.June

リンダ・ロンシュタット「クライ・ライク・ア・レインストーム」
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1970年代に世界で最も活躍した女性ポピュラー歌手といわれるリンダ・ロンシュタット。出す作品が次々と全米No.1セールスを記録し、プラチナアルバムを連発。ライヴはいつも超満員で、スタジアムでコンサートを行なうようになった最初の女性歌手との評価もある。

そんなリンダがオーディオファイルに注目されたのが、1989年にリリースした「クライ・ライク・ア・レインストーム」だ。本盤はCD全盛期におけるチェックディスクとして広く定着。それもそのはずで、録音を担当したジョージ・マッセンバーグは、本盤で90年のグラミー賞「ベストエンジニアアルバム」を受賞。音のよさは折り紙付きなのである。

リンダ・ロンシュタット「クライ・ライク・ア・レインストーム」

リンダの繊細かつウォームな声をナチュラルに再生するのに、私はウッドドーム振動板を搭載した“WOOD 01”「HA-SW01」が最適と思う。JVC/ビクターは、ホーム用スピーカーでの実用化を機にウッド振動板を本格的に研究。その成果がこの「HA-SW01」にも伝承されている。

本機では、独自の薄膜加工技術によって40mm口径ウッドドーム振動板を完成させ、これを1テスラを超える強力な磁束密度を有した磁気回路で駆動。さらに振動板後方にリング状に加工したウッドプレートを配置して、ユニット内部の反射や共振を排除し、ハイレゾならではの情報量と分解能を存分に活かせる構造を実現した。加えて、無垢の木材を積層した強固なハウジングを採用。音質面も、視覚面からも、ナチュラルなウッドの質感を全面的に打ち出しているのだ。

リンダ・ロンシュタット「クライ・ライク・ア・レインストーム」

「クライ・ライク・ア・レインストーム」の一大フィーチャーは、ネヴィル・ブラザースのアーロン・ネヴィルの全面参加。スウィートで透明感の高い希代の美声が、リンダとのデュエットを繰り広げている。

シングルカットされ、全米2位の大ヒットを記録した「ドント・ノウ・マッチ」では、アーロンの独特のファルセットがエフェクト的に付加されたリヴァーブと相まって柔らかに広がる。リンダの声もナチュラルで、「HA-SW01」はこの清らかな美しさを讃えたバラードを濃密に再現してくれる。互いに寄り添い、顔を覗き見ながら歌っているビジュアルが浮かび上がるかのようだ。

リンダ・ロンシュタット「クライ・ライク・ア・レインストーム」

カーラ・ボノフ作の名曲「オール・マイ・ライフ」も、二人の絶妙なコンビネーションが実感できるナンバーだ。サビの後のアーロンのオブリガートが効果を上げており、とてもドラマチック。伴奏のダイナミックなスケール感と、それに支えられてくっきり迫り出す二人の声。「HA-SW01」の描写力は実に明快で堂々としている。

リンダは2011年に歌手引退を表明したが、後にその原因がパーキンソン病を患ったためと報道されたことで多くのファンが悲しんだ。いま私たちに出来るのは、こうして全盛期の作品を愛聴しながら、彼女が難病を克服し、元気で暮らせるよう祈ることだ。

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