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音楽の旅

VOL.
17
   クィーン 「オペラ座の夜」 2018.October

クィーン 「オペラ座の夜」
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すっかり秋めいてきた今日この頃、音楽/映画界の話題に、11月公開のクィーンの伝記映画「ボヘミアン ・ラプソディ」がある。今回はそれにちなんで、同曲も収録されているクィーン最大のヒットアルバム「オペラ座の夜」を採り上げたい。

同作はクィーンの4枚目のスタジオアルバムとして75年にリリースされた。その第1弾シングルが「ボヘミアン・ラプソディ」であった。全英シングルチャートでは9週連続1位を獲得。クィーンを象徴する楽曲として人気は高いし、カバー演奏も多く、70年代を代表する洋楽ヒットナンバーに挙げられよう。

曲の構成も実に凝っている。(1)「アカペラ」、(2)「バラード」、(3)「オペラ」、(4)「ハードロック」、(5)「バラード(2)のリプライズ」という5部構成から成り、(3)はフレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラーの3人のメンバーの声を百回以上オーバーダビングして制作されたという手の込んだもの。そのために24トラック録音が実施されたという(当時のロックでは多くても16トラック)。また、実質的なプロモーションビデオが最初に制作されたロック曲とも言われている(コントラストを強調した4人の顔が印象的なビデオだ)。

そんな「オペラ座の夜」に似付かわしいCLASS-Sヘッドフォンは何か? 私はここでオーバーヘッドタイプの“WOOD 01”「HA-SW01」がふさわしいと見た。具体的には、楽曲のめくるめく変化にリニアに追随するには、「HA-SW01」の余裕のあるレスポンスが的確と見たのである。

アカペラ部分の声の質感と分解能、ハードロック部分のダイナミックなビートを支えるには、ウッドドーム振動板を駆動する「ハイエナジー磁気回路」が奏功するのではないかと思った。また、ウッドドーム振動板とウッドプレートによるダイアフラムが、声量豊かなフレディ・マーキュリーの歌声をリッチに響かせてくれることにも期待したのだ。

ウッドドーム振動板を駆動する「ハイエナジー磁気回路」

シングルカット第2弾の「ユア・マイ・ベスト・フレンド」は、伴奏を終始先導するエレキピアノのウキウキするような躍動感が楽しい。サビの部分はクィーンならではのコーラスが冴える。「HA-SW01」で聴くと、そのリズムのよさもあって、何だかスキップしたくなるような気分になってくる。

個人的には「ボヘミアン・ラプソディ」に負けず劣らず名曲と思っている「ラブ・オブ・マイ・ライフ」のドラマチックな展開も、「HA-SW01」はとてもスケール感豊かに再現してくれた。特に後半のアカペラに続くエレキギターとピアノの掛け合いなど、実に繊細で美しい。「HA-SW01」の魅力全開という感じだ。

英国の音楽史上、最も優れたシングル曲として、ビートルズ「ヘイ・ジュード」や「イエスタデイ」を抑えて1位となった「ボヘミアン・ラプソディ」を「HA-SW01」で聴くと、曲の複雑さがわかると同時に、今から40年以上も前に当時の常識を超える手法でこの曲が収録された際の苦労をうかがい知ることができる。つまり、音の重なりが半端ないほどぶ厚いのだ。とりわけバラード部でのフレディの表現力の高さ、アカペラ部分の重厚なハーモニーを克明に再現してくれたのには、改めて感心した次第。さらにハードロック部のダイナミックさにも舌を巻いた。

ハイティーンの頃に出会って以来、ずっと聴き続けているバンド、クィーン。そんな彼らのトリビュート映画の公開を、私も楽しみに待っている一人である。

クィーン 「オペラ座の夜」

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