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音楽の旅

VOL.
21
   ザ・ローリング・ストーンズ「スティッキー・フィンガーズ」 2019.June

ザ・ローリング・ストーンズ / スティッキー・フィンガーズ
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6月5日まで東京・五反田で開催されていた「Exhibitionism-ザ・ローリング・ストーンズ展」も記憶に新しいザ・ローリング・ストーンズ。バンドメンバー自らがプロデュースし、衣裳や楽器、写真など500点以上が展示されていたことも話題となった。今月は、英国が生んだこの長老格ロックバンドの1971年作「スティッキー・フィンガーズ」を取り上げよう。

ザ・ローリング・ストーンズは、1962年にロンドンにてブライアン・ジョーンズ、イアン・スチュワート、ミック・ジャガー、キース・リチャーズによって結成され、後にピル・ワイマン、チャーリー・ワッツが加わった。これまでに脱退や新加入などメンバーが数回入れ替わってはいるが、現在も精力的に活動し、一度も解散していないことから、最古参ロック・バンドのひとつに挙げてもいいだろう。

1970年にデッカ(アブコ)レコードとの契約終了に伴い、自主レーベル『ローリング・ストーンズ・レコード』を立ち上げ、その第1弾としてリリースされた本作は、全英・全米共に4週連続で1位を記録。ジャケットのアートワークはアンディ・ウォーホルが手掛け、LP全盛期にはジャケット表側の股間クローズアップのジーンズに本物のジッパーが使用され、実際に開くことができた。また、新加入のギタリスト/ミック・テイラーが全面的に参加した一方で、ブラインアン・ジョーンズが一切関わっていない初めてのアルバムともなった。

ブルース色が濃く、どこかルーズな雰囲気を湛えた「スティッキー・フィンガーズ」を存分に再生してくれるヘッドホンとして私が選んだCLASS-S機は、“WOOD 02 inner”「HA-FW02」だ。ハウジングの響きを適度に制御する「ウッドスタビライザー」と、ブラスやアルミなどの異種材料の組合わせによって不要振動をコントロールした「トリプルメタルハーモナイザー」のコンビネーションが、ローリング・ストーンズ独特のビートのうねりを再現してくれるものとして選んだのだ。また、内蔵のウッドドームユニットが、いささか刺のある感じのこの頃のミック・ジャガーの声の魅力をストレートに引き出してくれることにも期待している。

ザ・ローリング・ストーンズ / スティッキー・フィンガーズ

アルバム冒頭の曲「ブラウン・シュガー」は、先行シングルとしてリリースされ、全英2位、全米1位を記録している。今でもツアーで必ずといっていいほど披露される人気曲だ。非常に印象的なイントロのギターリフに導かれて、ワイルドなビートに乗ったミックのヴォーカルがグッと前にせり出してくる。ウッドドームユニットがいい感じでその様子を描写してくれる。間奏部に右チャンネルから聴こえてくるサックスも、この曲のファンキーなイメージを演出しているといってよい。後半の伴奏はピアノが絡み、ホンキートンク(調子っぱずれ)なムードが一段と色濃くなっていく。

米国でシングルカットされた「ワイルド・ホース」も、この時期の名曲として名高いナンバー。12弦ギターとエレキギターのスライド奏法が濃密なカントリー色を発しており、バンド中期の名バラードといえよう。重ねられたエレキやアコースティックギターの響きのナチュラルさ、オーバートーンの美しさを際立たせているのは、トリプルメタルハーモナイザーに違いない。タイトなドラムがアクセントとなり、この曲の朴訥としたイメージを一層拡大してくれている。

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