WOOD/デザイナーインタビュー
JVC初の"木の振動板"を搭載したバンドポータブルヘッドホン「WOOD」。
年輪を重ねるように深化するプレミアヘッドホンのプロダクトデザイナーに、コンセプトやこだわりを伺いました。
JVCKENWOOD DESIGN
クリエイティブデザインスタジオ
プロデューサー 吉村智至
—— 音を奏でる楽器のようなヘッドホン
商品のコンセプトは?
「WOOD」は、JVC独自技術の"木"ならではの美しい響きと自然な広がりを感じさせるウッドドームユニットを搭載した初のポータブルバンドヘッドホンであり、JVCハイクラスヘッドホンシリーズ「CLASS-S」第二弾モデルです。
自然な"木"の響きを引き出すアコースティック構造を搭載した音を奏でる楽器のようなヘッドホンを目指しました。
企画段階で描いたイメージや注力したところは?
伝えたいのはJVCテクノロジーの代表作ウッドドーム振動板の魅力を最大限に活かすことであり、世の中に数あるウッドハウジングのヘッドホンと一線を画することです。
デザイナーとして特にこだわった部分は?
JVCハイクラスヘッドホンに相応しく、素直で自然な構成、要素をシンプルにそぎ落とした"ホンモノ"志向のものづくりにこだわりました。
シンプルといっても単純に部品を減らす、全体をスムースに繋げると言ったことではなく、基本となる要素(音響部のハウジング、可動部のスライダーとハンガー、装着感を高めるイヤーパッドとヘッドパッド)の機能とデザインのバランスを考慮しながら全体として"さりげなく際立つ"上質な佇まいに仕上がるよう創りあげました。
特に可動部分は複雑になりがちなので、シンプルで明快な構成になるよう心がけました。ハンガーにはリング状のデザインを採用し、ハウジング部のウッドを魅力的に際立たせるアクセントとして造形に取り込みました。
スライダーにはこだわりのアルミダイキャスト(鋳造・製法)を採用し、ハンガーの支柱と一体化した形状とすることで、"モノ"としての信頼性と存在感を表現しました。"ホンモノがわかる大人"の所有アイテムを目指しています。
また、『CLASS-S』のこだわりとして装着した時に美しく見えるデザインにすることでした。今回採用したリング状のハンガーは可動の回転軸が通常のハンガーよりも外側になるため頭に添ったラインが取りにくく、制約がありました。そのためにヘッドバンドのカーブ、ハンガーとスライダーとスライダーを繋ぐ部分の角度などいくつも試作を作製し、見た印象と装着感のテストを繰り返し精度を高めながら製品に反映していきました。
—— 数あるウッドハウジングヘッドホンと一線を画すること
一番苦労したところは?
世の中に数あるウッドハウジングのヘッドホンと一線を画することです。
ハウジングはデザインにおいてイメージを印象付ける重要なパーツであり、音響面でも重要なパーツです。デザインの形状や素材使いにより特性が左右されますので、アイデア段階からウッドの形状や素材、組み合わせる別素材など様々な形状や素材を検討しながら進めてきました。
最終的にはウッドドームをアイコン化したサークル形状のウッドと樹脂の組み合わせが、音響的な効果と合致し、ウッドと樹脂のハイブリッド構造の特徴的なデザイン(ウッド・オン・ハウジング)になりました。
エンジニアとデザイナーで生み出したことは?
商品の一番の特長である"木の振動板が見えるヘッドホン"に仕上げたことです。
試作機のユニットはメタルのプロテクターで覆われ中が殆ど見ない状態でしたが、木の振動板の魅力を表現するためにウッドドーム振動板を見せたいという開発メンバーの強いこだわりがありました。
エンジニアと音質のバランスを何度も調整しながら、何とかメタルのプロテクターを廃すことができ、JVC独自の"木の振動板が見えるヘッドホン"を実現しました。
お客様に向けてメッセージをどうぞ。
ウッドドーム振動板ならではの美しい音の響き、自然な音の広がりと時代に左右されることのないシンプルで上質な佇まいのデザインを感じて頂けたらと思います。長くお使い頂くにつれ価値を増していく愛着のもてる逸品として・・・。