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イザベラ・バードが歩いた道(秋田・青森)

Vol.6 イザベラ・バードが歩いた道
(秋田・青森)

明治初頭、イギリスの女性旅行家、イザベラ・バードが歩いた道を辿る旅。
彼女が記した「日本奥地紀行」を手に、秋田から青森県黒石市へ。

photography: Yasuyuki Takagi
text: Ryoko Kuraishi

01. 羽州街道

福島県桑折宿から山形県、秋田県を通り、青森県油川で奥州街道と合流する、およそ500kmの旧街道。物資のやり取りや参勤交代に活躍しただけでなく、松尾芭蕉や菅江真澄らがこの道を歩き、文化の交流も促された。特に秋田県北部は一里塚や茶屋跡など旧街道の佇まいが残されており、天然の秋田杉林の中にトレイルが整備されている矢立峠も合わせ、歩き甲斐も十分である。19世紀末に来日したイギリスの女性旅行家、イザベラ・バードは、日本の奥地を探検すべく、この内陸ルートを馬車や馬、時に徒歩で踏破。大鰐から先は乳井通りを使い、美しい城下町、黒石を散策している。独自の視点で綴った明治初頭の日本の風景は、『日本奥地紀行』に詳しい。

02. 曲げわっぱ

起源は奈良時代に遡るともいわれる曲げわっぱ。中でも大館曲げわっぱは柾目の美しい樹齢200年以上の天然の秋田杉だけを使用。材を薄く削いで曲げ加工を施し、木地を幾度も磨いて作られる。藩政時代、大館城主の佐竹西家が下級武士の手内職として奨励したことから広く生産されるようになった。杉が持つ殺菌作用によって食べ物が傷みづらい上、とりわけ木目が美しく、耐久性に優れていることから伝統工芸品として広く愛されている。

03. 大鰐温泉もやし

12世紀末に開湯された大鰐温泉。江戸時代には津軽藩歴代藩主も訪れるなど、湯治場として大いに栄えた。その温泉の熱と温泉水を利用し、一子相伝で栽培される伝統野菜が大鰐温泉もやしだ。その歴史は古く、350年以上前に遡る。在来種の大豆を使ったもやしは長さおよそ30センチ、シャキシャキとした歯ごたえと独特の香りが特徴だ。秋から冬にかけてがシーズンなので、この時期に大鰐温泉を訪れたらぜひ、食してみたい。

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