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3人制バスケットボールの「3×3(スリー・バイ・スリー)」をご存知だろうか。90年代にブームを巻き押した「3on3」なら知っているという方もいらっしゃるだろう。
実はストリートで自由にできる3on3には、試合時間やコートのサイズに決まりはない。そのために、ローカルルールがいくつも存在するといった問題があった。そこで2007年、国際バスケットボール連盟が3on3形式のバスケに世界統一競技ルールを設けて、正式な公式競技として誕生したのが「3×3」だ。
国内では、2014年に世界初の3×3プロリーグ「3×3.EXE PREMIER」がスタートし、2017年には国際オリンピック委員会理事会で2020東京オリンピックの正式種目に決定。3×3.EXE PREMIERの2017シーズンは38万人を超える人が観戦した。3×3は今や国内外ともにメジャーなスポーツといっていいだろう。
今年も6月から9月にかけての期間に「3×3.EXE PREMIER」の2018シーズン公式戦が開催され、2017シーズンの18チームから倍の36チームが482試合を行った。6月から9月のほぼ毎週週末に日本全国各地で最大同時に4ヶ所で試合が行われ、そのすべての試合がインターネットでライブ中継された。
実は、その2018年シーズンのリーグの配信機材としてJVCケンウッドのライブプロダクションシステム「Streamstar」が採用されたのはあまり知られていない話だ。メジャーなプロリーグのライブ中継を陰で支えたのはStreamstarだったのだ。現場でどのように活用されていたのか、リーグ最終日となるPLAYOFF/FINALの配信現場をリポートしてみた。
まずは、3×3の魅力から紹介しよう。「3×3って選手が3人制になったバスケの縮小版でしょう?」と思われるかもしれないが、それは違う。3つに絞って紹介しよう。
まず1つ目がスピーディーな試合展開だ。ハーフコートで10分間1ピリオド制だが、どちらかのチームが21点を先取した場合はそこで試合終了。通常のシュートは1点、3ポイントは倍の2点。試合のテンポは良く、バスケットボールの魅力が凝縮されているといった感じだった。
2つ目は、バスケなのにゲーム中の選手のプレーをかっこよく伝えるMCやDJブースからは、音楽がガンガンに流れ、まるでクラブの中にいるような雰囲気がより一層試合を盛り上げている。エンタメ要素の強い空間も3×3の見どころだ。
3つ目は、街中に突如現れるバスケコートだ。ある時はお台場ダイバーシティにあるガンダムの足元だったり、ある時はショッピングモール、駅前広場、漁港の特設会場。他のスポーツでは考えにくい場所でも開催できるのも3×3.EXE PREMIERの魅力となっている。
そんな、3×3.EXE PREMIERの魅力を世の中に伝えるのに欠かせないのがインターネットのライブ配信だ。3×3.EXEを主催するクロススポーツマーケティング株式会社の日置正延氏によると、2017年のシーズンまで3×3.EXE PREMIERの配信には、同じクロススポーツマーケティングの中で行っている「応援.COM」と呼ばれるサービスが使われていた。応援.COMは、スマートフォンが1台あれば配信ができてオンデマンドも可能。知識のない方でも気軽にできるのを特徴としているという。
しかし、応援.COMは誰でもお手軽にスポーツ中継を配信できるため、1台のカメラだとプレーの細かいところが見えずらい。また、システム上、得点が同画面上で得点が表示できないため、試合の状況が掴みづらいなどの問題があった。2018シーズンを迎えるにあたり、これらの問題をどのように解決するかが課題だったという。
そこで、3×3.EXEの事務局がリーグとして配信に採用したのがStreamstarだ。Streamstarはできるだけ少ない人数でスポーツのライブ配信をできるようにしたソリューションだ。採用の経緯までを日置氏はこう語った。
日置氏: Streamstarはタッチパネルでソースを切り替えたり、リプレイの配信ができたり、非常に馴染みやすいと思いました。ライブ配信に詳しくない人も操作は可能なので、当初は2018シーズンを社内のスタッフで配信をすることを前提に考えていました。
そこでどのように配信をするのかを今年2月のアマチュア大会でStreamstarを試験的に使ったところ、スムーズかつキレイに配信ができて、しかも得点を配信映像にPinPで表示できのが高評価で、3×3.EXE PREMIERの2018シーズンの配信機材として採用を決定しました。
また、2018シーズンから会場に得点表示用に大型LEDディスプレイを設置することも課題で、こちらはパンダスタジオさんからのレンタルで実現しました。それならば、ということで、配信に関してもパンダスタジオさんのStreamstarをレンタルをして、最終的には配信のオペレーションもパンダスタジオさんにお願いをすることになりました。
Streamstar X4を使えば、最大4台のカメラ入力を入れて、スイッチングしてリプレイ映像ができる。得点シーンや派手なファウルのシーンのリプレイによってスポーツコンテンツの魅力をさらに上げる映像配信や映像コンテンツにスコアを載せて流すことが可能だ。
日置氏は、2018シーズンにSteramstarを使ってライブ配信をした反響についても以下のように語った。
日置氏: まず、映像のクオリティ的の面では、「これぞプロリーグの映像だよね」と好評でした。
配信の面では、安定してスムーズに見られる配信を実現できたところはとても良くなりました。また、2カメを切り替えて配信しているので、ボールを持っている選手を見やすくなりました。そして中継画面の中にPinPで得点が掲載されて、試合の状況がわかるように改善されたところも良かったです。
選手の表情とかも見えずらい様な状況だったのですが、これまで以上にクリアに見えるようになってファンの方々の満足度は高いと各チームから話を頂きました。
また、3×3.EXE PREMIERのライブ配信は世界中でも観られています。特に3×3バスケットの特徴は、街のフォトジェニック感がある場所で開催しているので、世界の3×3ファンに「日本で面白い場所あるよね」とアピールできているのかなと思っています。
9月15日と16日に東京都品川区の大森ベルポートで2018シーズン 36チームのトップを決める2018シーズンの最終決戦「3×3.EXE PREMIER 2018 PLAYOFF/FINAL」が行われた。その中から9月16日の試合の撮影や配信業務を担当したパンダスタジオのスタッフに話を聞いてみた。パンダスタジオは3×3.EXE PREMIERの2018シーズンの2週目以降の撮影や配信業務をすべて担当しており、 3×3の配信に関しては知り尽くした貫禄がある感じだった。
中継スペースの機材ラックを見ると、上からStreamstar X7、大型LEDディスプレイのスケーラー、大型LEDディスプレイのコントローラー、Streamstar X4、UPSが1台にまとめられていた。パンダスタジオの山田氏は、Streamstar X4の4入力に4台のカメラ入力を入れてスイッチングやリプレイ映像を担当。
遠藤氏は、Streamstar X7を使って大型LEDディスプレイに対して送り出す映像を担当。会場内の大型LEDディスプレイでショーアップするための画出しのベース基地みたいな形としてもStreamstarが活用されていた。遠藤氏のStreamstar X7からはカメラの入力の画や中に用意した場内のショーアップ用の画、3×3公式スコアのコンピューターから出てきたスコアを出すこともできる。パンダスタジオはX4とX7の2台のStreamstarを効率よく使い分けていた。このほか、ゴール下のカメラに付いている周氏の3名によって配信が行われていた。
まず、ライブ映像を観て目立つのは映像右上のスコア表示だ。一見すると、大型LEDディスプレイをカメラで撮って切り抜いているように見えるが、それは違う。3×3の公式のスコアはPCベースのアプリで動作していて、公式のPCの出力をHDMIでStreamstarに入力。そのHDMIから取り込んだ映像の周りを切り抜いてスコアの部分だけを切り取ってPinPで追加して実現している。
バスケットは展開が早いので、スコアをいちいち配信者側で手入力してCGで作っていると間に合わなくなる。3×3のライブ配信ではライブ中継のスコアは3×3公式のスコアと連動させ、スコアの入力作業を省いているのは大きなポイントだ。
ちなみに、Streamstarには簡易なものだが、得点とセットカウントと時間、競技の進行の時間を表示するのシンプルなスコアも内蔵されてる。3×3.EXE PREMIERのライブ配信では、3×3の公式のスコアをそのまま差し込んでいたが、そういったソースがない場合でもStreamstarはスコアを実現することが可能。簡単なスポーツライブなども一台でできるところも特徴としている。
Streamstarの特徴は、システムそのものが大変にシンプルなことだ。本体はパソコン1台だけだ。キーボードやマウスを使わず、すべてタッチディスプレイで操作ができ、番組制作まで可能な機能を備えている。
実際に3×3.EXEの配信に使用した遠藤氏はStreamstarの使い勝手について以下のように語っていた。
遠藤氏: Streamstarは、タッチパネルが最大の特徴だと思います。例えば、ライブ配信によく使われるTriCasterの場合は「この画面がスイッチ1」「この画面がスイッチ2」など画面を見つつ、手が勝手に動くぐらいの慣れを要求されますが、Streamstarは、画面を観ながらポッチ、ポッチとタッチしながら選ぶ感じです。操作がまだ慣れていない方には、わかりやすいと思います。
なので、まったく配信のことがわからない方でしたら、TriCasterを現場に持って行ってもとっつきずらいでしょう。Streamstarであれば何も覚えていない方でもすぐにセッティングして映像を切り替えてパチパチパチでできる。これからライブ配信を始めるという方でしたらばStreamstarをおすすめします。
Streamstarはリプレイとスイッチングを一人で実現できる。かつコンパクトなスペースで、シンプルなオペレーションでライブの画作りができるところも大きなポイントといえる。
例えば、TriCasterを使ってライブ配信中にスローやダイジェストを実現したい場合は、3PlayとTriCasterを別々に用意する必要がある。通常オペレーターに3Play用のオペレーターも1名必要になるし、コントロールするテーブルも少し広くないといけなかった。
また、Streamstarのリプレイ機能は、リプレイをスイッチングしているオペレーターがワンタッチでリプレイを作れて、それを全カメラ同時に録画をしているのでどのカメラでもリプレイが可能だ。Streamstarにはイン点ではなくて、リプレイを押した時点から設定した秒だけさかのぼって再生する。さかのぼる時間もあらかじめ設定可能だ。
Streamstarのリプレイ機能を使った遠藤氏と山田氏は以下のように述べる。
遠藤氏: Streamstarの特徴は、なんといってもワンオペでカメラのスイッチングとリプレイもできるというところです。オペレーターの人数が省力化できているというところが一番の特徴かと思います。
バスケットは展開が早く、3×3は通常のバスケットよりさらに早いです。今回の3×3の中継でリプレイはファールとかタイムアウトぐらいしか使えませんでしたが、何回かリプレイを使うことはありました。
山田氏: Streamstarのスローリプレイは、凄く直観的に操作できます。8秒間の映像とか、100%再生から20%再生まで押している時間だけ利かせるようにすることができます。
3×3の配信では複雑なことはしていないのですけれども、1つのワンシーンの1カメ、2カメ、3カメというのをリアルタイムで切り替えながら再生することは3Playではなかなかできないところです。Streamstarはスポーツ中継でいろんなアングルのカメラを切り替えることが同時にできる。そこがメリットかなと思います。
また、仰々しいコントロールパネルみたいなものは持ち歩かなくても、タッチパネルと本体だけでオペレーションできるのがやっぱり利点かなと思います。アプリケーションも安定していますよね。
最後に、遠藤氏と山田氏にStreamstarを使って特に気に入った点を挙げてもらった。
遠藤氏: PLAYOFF/FINALの配信では、テロップソフトを導入しました。テロップソフトはNDIで入ることができます。ですので、LANケーブルでルーターをつないで入ればX7やX4に入ります。
それらを使ってシュートコンテストの得点板とかのテロップ出しを実現できたのは良かったかなと思いました。NDIでStreamstarに入るのはとても使いやすかったです。
山田氏: Streamstarに初めて出会ったときはスイッチャーをやりながらリプレイが出せることに、ありえないと思いました。3Playとはちょっと毛色が違いますけれども、スイッチング&リプレイ送出のマシンとして、オールインというのは唯一これだけなのかなと思っています。
Streamstarは今回のようなバスケットのような常時切り替わりの早いスポーツでも使えています。たとえば、野球やソフトボールのような少し時間がある。攻守の切り替えに時間のあるスポーツとかだと、長めのリプレイを出したり、ハイライト作成ができたりというところはこれ一台で可能です。そういうところに現場に投入していくといいのではないかと思います。
実際にソフトボールなどのいくつかの現場でStreamstarを導入した実績もありますし、そういった現場に最適なのかなと思います。