GY-HM650/600 徹底解説


Chapter-1

『23倍ズームレンズ』

 

 コンパクトHDカメラは、ワンマンでの運用をするケースが多いというユーザーの声を聴きます。ENGカメラでは持て余す場合もあり、シチュエーションによってはレンズを数本用意する必要もあります。また長時間の撮影では機材の重さもカメラマンに負担を強いられます。映画やドラマのように予め撮影するシーンが判っている場合ならよいが、インタビューや舞台撮影となると、ワイドからテレまで自由度が高いレンズが都合がよい。GY-HM600/GY-HM650では、“引ける+寄れる”を、レンズ性能にもたせることにしました。

■カメラセッティング:
ガンマstd/f.16/60i/ND 1/64/ゲイン-6dB/AWB

<ワイド端=4.1mm,35mm換算=29mm>

<テレ端=94.3mm,35mm換算=667mm>

ワイコンが無くとも“引き”の画角に実用的な余裕があるワイド端=29mm(35mm換算)をベースに、“寄り”を実現するテレ端=667mm(同)までをカバーする23倍ズームレンズをフジノンと新開発。この1台でダイナミックにシーン切替えが可能なレンズスペックを求めました。また、舞台撮影や夜間でのフィールド撮影にはレンズの感度が必要とされます。後述のセンサーやDSPでは電気信号での感度アップは可能だが、入口のレンズそのものが“明るい”感度をマークしていることで、その後の電気処理も大きく変わります。高い感度を得るために様々なレンズの組み合わせを検証し、重量バランスにも優れた高感度=F11のレンズに仕上げました。また、「ズーム・アイリス・フォーカス」の3連リング方式を採用し、ENGレンズに慣れたカメラマンにも違和感なく、指の“かかり”ができるようになっています。リングの動きは触る人の個人差にもよるが、軽すぎない“粘り”のある感触を得られます。テレ端・ワイド端とも端付き(グルグル廻らない)なので、ズームの絶対値を指の位置で把握できるようになっています。ズームサーボは、マニュアルとフルオートとの両立をする電動式です。電動式の弱点である高速ズーム時のサーボ追従性については、発売当初から着実に改善を図りアップデートプログラムを用意しています(2013年2月現在、ホームページにて公開)。
レンズを中心に話をすすめてきましたが、基本フォルムをコンパクトHDカメラとしたことで、当然ハンディでの撮影シーンにも機動性を発揮します。ハンディでの撮影では、手振れ補正を積極的に活用したい。補正は用途に応じて「通常」と「高感度」の2段階の設定から選べます。ハンディの時だけでなく、軽量な三脚へ固定した場合でも、外的影響を軽減させることができます。
このカメラの性能と特長を決定付ける高倍率&高感度のレンズ。展示ショウルームやプロショップの店頭でその感触を機会が有れば是非試してください。