プロカメラマンの岡 英史さん【左】と映像クリエーター高野 光太郎さん【右】のトークショーのようす
2010年3月18日、当社の「JVCケンウッド丸の内ショールーム」にて、業務用HDメモリーカードカメラレコーダー「GY-HM700/GY-HM100」のProHD体験セミナーを開催しました。
映像クリエイターの高野 光太郎さんと、プロカメラマンの岡 英史さんにはGY-HM700とGY-HM100を実際のお仕事で撮影から編集、作品完成まで使っていただきました。その経験をもとに、ユーザーの立場からみたProHDの魅力について、率直なご意見を語っていただきました
岡
GY-HM700はFinal Cut Proでの編集が容易であることを前面に押し出して発売されたカメラですが、昨年のバージョンアップ以降はオプションなしでMP4のフォーマットにも対応しているので、Windowsのマシンで使用するNLEでも扱いやすいカメラになりました。
また外観的には高さが抑えられていることも特長の一つです。高さのあるカメラは本体で右側の視野が遮られるため、アシスタントに誘導してもらわないと右側に振りにくい場合がありましたが、GY-HM700は右側を見ながら一人でも撮影ができます。
岡
他社カメラのXDCAM EX素材とGY-HM700の映像を混ぜ込んでどれくらい違和感があるか確認してみましたが、違いのわからないレベルでした。色味もよく、混ぜ込んだ映像からはどの部分がGY-HM700で撮影した部分か見分けが付きません。
岡
ブライダルで使用する場合のもっとも重要なポイントは、バックアップです。ファイルベースで一番怖いのは実際の撮影の際に、「本当に映っているの?」という不安のあること。このカメラはSxSでのバックアップ記録が可能(オプションのKA-MR100G使用時)で、さらにSDI出力を接続して別の方法でバックアップ記録をすることができるのでそういった不安がありません。
またTC(タイムコード)用のジェネレータを独立して搭載しているので、SDHC用、SxS用にそれぞれ途切れることなくTCを記録することも可能です。ファイルベースカメラの中で、1台でメインとなる素材とバックアップ素材を記録でき、且つTCを独立して制御できるカメラはGY-HM700だけです。この点は、GY-HM700の大きな魅力で、今後他社も追従してくるような機能だと思われます。
岡
IDXのプレートを使った事例を紹介させていただきます。(写真参照)
IDX社のワイヤレスアダプター(A-HWRなど)を使用することにより、ENGで一般に使われているワイヤレスシステムを装着することができます。その場合一部の外部電源が必要なシステムの場合、若干の加工(+12V出力)をすることにより運用することができるものもあります。もちろんD端子が装備されているので、小型のカメラライトの装着も可能です。
岡
海外に行くときの機内持ち込み用のサイズのバッグに、本体、ワイヤレスシステム、バッテリー(2本)、接続ケーブルも収納することができます。(写真参照)
これまでのENG用カメラだと、カメラ用に座席を用意したりなんていうこともあります。
この状態を、他のカメラマンに見てもらいましたがかなり注目を浴びました。
岡
35MbpsでMP4に対応しているカメラとしては世界最小です。このスペックからみると、サブカメラ以上のカメラであると思います。
このカメラもGY-HM700同様に他社カメラの素材に混ぜ込んでみましたが、色も自然でとてもよいという結果でした。リニアPCMが録れるので、音声のバックアップとしても使えます。
またとても軽いので、上から撮りたい場合にも片手でこのカメラを持って撮影することができます。
高野
番組で、子供をたくさん撮影する機会がありましたが、撮影時のプレッシャーをかけたくないのでできるだけ小さいフルハイビジョン対応のカメラを捜したら、GY-HM100以外にはありませんでした。ステルスモード(外付けマイクとハンドルを取り外した状態)での撮影は非常に見た目がコンパクトになります。1歳半くらいのお子さんを撮影する場合など、家庭用のカメラと一緒ですと言ってお父さんにそのまま預けて撮影してもらう使い方もしています。
ディレクターズカメラとして普段撮影に慣れていない人が撮影する場合でも、フォーカスアシスト(焦点の合っている被写体のエッジに色が着けられる機能)を利用することで安心して撮影ができる。また、USBケーブル1本で本体とPCを接続し、Final Cut Proの編集にそのままもっていけるのが便利です。
本体のバランスとしてはワイコンを取り付けた状態でしっくりくる感じです。狭い空間ではワイコンを使う場合が多いので、このとき丁度いいバランスになります。GY-HM100は、とても小さいのでメッセンジャーバッグに入れることができます。
高野
撮影時に、MOV(QuickTimeのフォーマット)かMP4を本体のメニュー内で選択できます。いずれの場合でもネイティブで記録されるため、編集の時は変換レスでコーデックに時間を要することもありません。そのまますぐ編集にもっていけます。
とにかく、簡単でややこしくありません。制作側にとっては、記録フォーマットについての多くの知識を持たなくてもすぐ編集に取り掛かれるのでその点においても非常に扱いやすいカメラだといえます。
高野
ProHDカメラは撮像素子にCCDを採用していますが、CMOSとの性能の違いについてお話ししたいと思います。
私はよくプロモーションビデオ撮影を行っています。その際にフラッシュをたいたときも、ProHDカメラは撮像素子にCCDを使っているので、フラッシュバンドがおきない。ローリングシャッターが無いという点においても、スポーツものとか早いスピードの撮影するときには非常に適したカメラであるといえます。
岡
ブライダル撮影の際もフラッシュをたく場合があるのでこのカメラはいい。実際に使ってみると和装での金糸銀糸の繊細さや ウェディングドレスやパールの質感も、CCDならではの美しさが表現されています。これは”CCD独特の粘り“なのかなと感じます。
ハイビジョン撮影が可能でCCDを採用しているカメラとなると意外と選択肢が少ないのが実情。あってもハイクラスのカメラになってしまうので、その点このProHDカメラは価格的にもリーズナブルだと思います。
講師ご紹介
映像クリエイター 高野 光太郎(たかのこうたろう)氏
フリーランスにてミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。著書に「After Effect+HDの基礎」がある。
プロカメラマン 岡 英史(おか ひでふみ)氏
VIDEONETWORK主宰。東宝ミュージカルや芝居等の舞台撮影を主とし、最近では初心に戻り積極的にENGをこなす。NLE専用にチューニングした自作PCで編集までを自身で行う。