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第2回対談 スポーツコーチングカメラシステム「タギングとは…」

タギングが新たなスポーツ映像分析の道を開いた…

松尾 :
スポーツコーチングのトレンドのひとつとして「映像分析」が大きな話題になっています。そこで、本日は 国内のスポーツコーチングの世界で、いち早く「映像分析」に取り組んでいるチームとサポートする企業の担当者にお集まり頂きました。その効果や運用についてお話を伺いたいと思います。
吾郷:
プロ野球では日々試合が行われますが、終わった試合をすぐに見られるような環境づくりはどのチームもやってはいます。ホークスでは、ダートフィッシュジャパン社のご提案の「タギング」を用いて、試合の編集を行っています。プレイ毎にタギングを打つことによって、見たい映像を瞬時に呼び出すことができるので、選手を待たせるといった余計なストレスをかけることがなくなりました。また、それだけには止まらずiPadやiPhoneを使って、選手が場所を選ばずに自分のタイミングで振り返る環境作りを真っ先に取り入れました。
澤田:
我々の会社では、スポーツ分野の研究開発に活用いただける計測機器の開発から販売までおこなっていますが、センサーで集めた情報をもとに運動をグラフ化することが中心で、動画を分析対象として扱ってはきませんでした。しかし、センサーの情報と動画を同時に扱うことは重要で、フォーム修正やフォーメーションの組立に有効であると常々感じていました。しかし、動画の必要な部分を切り出す編集作業はとにかく面倒くさい。そこで、「編集が楽な撮影」をどうにかしてやりたい。と考えていたところ、JVCケンウッドさんと共同開発する機会に恵まれ、もともと自前で運用していた無線技術と融合させて「スポーツコーチングカム」を作ることができました。


藤井:
私共ダートフィッシュ社は開業20年近くになるソフトウェアの会社ですが、パソコン+カメラ+ネットワークを連動させる「ダートフィッシュ」というソフトウェアで「スポーツコーチングを映像分析で」というアプローチを続けています。ソフトバンクホークスさんには、野球界ではいち早く取り入れていただきました。

「タギングでマルチアングル撮影の価値が飛躍的にアップ!」

松尾 :
現在スポーツコーチングカメラシステムをソフトバンクホークスさんのほうで実際使って頂いていますが、カメラの評価・優位点など、是非お願いします。
吾郷:
レギュラーシーズン中は、基本的に僕らで撮影することっていうのは少ないですね。キャンプとか練習試合などになると、今までは自分たちで撮って、時間を掛けて編集していたのですが、スポーツコーチングカムで、タグを打てるようになった結果、必要なパーツのみ集められ、編集作業が非常に効率的になった。それで選手に映像を渡すのも、1時間半ほど掛かっていたものが30分ほどで渡せるようになりました。今までは一日に一人、二人の選手にしか渡すことができなかったのが、多くの選手に映像を渡せるようになった。結果、選手が映像を見る機会が格段に増え、更に選手からのリクエストも活発になり、「映像分析」の浸透を肌で実感しています。
松尾 :
マルチ(カメラ複数台)で撮影をしていますか。
吾郷:
はい。練習試合の場合ですと、後ろと、横から。自分の打つフォームを確認したいという選手もいて、普段から4台のマルチ撮影をしています。
松尾 :
ソフトバンクホークスさんでは、ダートフィッシュとカメラをどのようにお使いですか?
関本:
前段でも話しましたが、シーズン中はダートフィッシュを使用してリアルタイムでタグを打って、視聴・分析に役立てています。藤井さんから当時ロジカルプロダクト(現スポーツセンシング)さんをご紹介いただいて、カメラシステムのタギングによるマルチ運用をご提案いただき、去年(2015年)のキャンプから導入させてもらいました。

「タギングでマルチアングル撮影の価値が飛躍的にアップ!」

松尾 :
澤田さん、プロの世界以外で、大学の研究室ですとか高校の運動部でのタギングやスポーツコーチングカムの活用状況はいかがですか。
澤田 :
「タギング」はほぼ普及してないに近いですね。
関本:
アマチュア界での試合や練習の撮影が「コーチング」目的よりも「記録」目的の比重がまだまだ大きい。
澤田:
U-12世代のコーチをしていた経験からいくと、丸撮りした試合から必要なとこだけ取り出したいっていうのは、小学生の指導者レベルからみんな持っていて、ニーズは山のようにあるけれど肝心のソリューションをみなさんご存じない。
株式会社ダートフィッシュ・ジャパン 藤井 透、株式会社スポーツセンシング 澤田 泰輔
関本:
撮影時はずっと撮り続けているので、見たいところは見たい側が見続けて「サーチする」みたいな状態を生み出してしまっている。動画を貰う側は「自分の息子の部分だけ編集して」と思うのですが、おそらく用意する側にそういう時間も発想もないんですね。
藤井:
日本での「タギング」の歴史は、ダートフィッシュのタギングの歴史とほぼイコール、13年ぐらい前からでしょう。映像を使ってコーチング=指導すること、は実はタギングで大きく前進しました。例えば監督だったりコーチだったり選手っていうのが、それぞれ頭の中でチェック項目を持っていて、その指導、評価するポイントっていうのをいかに、みんなと共有出来るかというのがコーチングには重要で、「タギング」が大きくその扉を開いた。
藤井:
海外では日本よりかなり前から普及していますね。教育の分野でも幼児期に身に付けなければいけない動作とか、強化の必要な運動というのがあります。そこをいかにして分かり易く、また同じ水準で行うためには「映像」が大きく物を言います。「百聞は一見にしかず」全国の小学校の先生が、同じポイントで教えられるかどうか。それにはやはり映像が有効です。
関本:
サッカーだとか、ラグビーだとか流れるスポーツだとタグを打つことで場面場面でのフォーメーション検討に役立ちますし、野球は結果に先立つ動作・フォーム確認にハイスピード撮影を加えることでより詳細な分析が可能になります。
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