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音楽の旅


特別編
   キャノンボール・アダレイ / Somethin' Else 2019.November

キャノンボール・アダレイ / Somethin' Else
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秋をテーマにした楽曲は、洋の東西を問わず、あるいは日本国内にもさまざまあるが、私が即座に思い描くのは、ジャズのスタンダードナンバー。とりわけ“Autumn"の文字が浮かぶのは、“Autumn Leaves"、いわゆる邦題<枯葉>である。数多くの名演がある中で、真っ先に頭をよぎるのが、マイルス・デイヴィスのミュート・トランペットが印象的なブルーノート・レコードの「Somethin' Else」に収められた演奏だ。

本作のリーダー名義はアルトサックスのキャノンボール・アダレイだが、実質的な統治はマイルスである。この録音当時、マイルスは麻薬中毒の渦中にあり、ライブや録音といった演奏活動が完遂できない状況にあった。そんなマイルスに手を差し伸べたのが、ブルーノート・レコードのオーナー兼プロデューサーのアレフレッド・ライオンで、この頃米コロムビア・レコードと契約状態にあったマイルスのアルバムという形でなく、キャノンボールをリーダーに据えることで(マイルスをサイドメンとして)録音を進め、この世紀の名盤を生み出したのである。

録音は、ブルーノートのほぼすべての作品を担当したジャズ・レコーディングの開祖ルディ・ヴァン・ゲルダー。彼のニュージャージー州ハッケンサックのスタジオにて1958年3月9日に収録された。他のメンバーは、ピアノ/ハンク・ジョーンズ、ベース/サム・ジョーンズ、ドラムス/アート・ブレイキーのクインテット編成である。

キャノンボール・アダレイ / Somethin' Else

今回もイヤホンには、WOODシリーズの頂点に立つ10周年記念モデル「HA-FW10000」を用意した。HA-FW10000でジャズを聴く魅力は、ソロとアンサンブルの明確な対比、さらにはくっきりとしたビートの再現にあると私は思う。それが実現できているのは、天然素材と金属系材料の巧みな組み合わせ、コラボレーションにある。

その名称の由来にもなっているWOOD振動板は、誕生以来丹念に改良と改善が図られてきた薄さ50ミクロンの樺材だ。薄く均一にスライスするテクノロジーは、同社の研究所が独自に編み出したもの。ここにステンレスノズルでドライバーをがっちりと保持すると共に、全体をチタニウム製のインナーハウジングで覆う構造になっている。さらに吸音材には、選別した特殊な和紙を短冊状に手作業で加工・挿入するというこだわり様だ。こうした異種素材の組み合わせは、ひとつひとつカット&トライで繰り返して選別された、まさしく匠の世界なのである。

当時はシャンソンの名曲と誉れ高かった<枯葉>をジャズのアレンジにて成功させたのは、マイルスのミュート・トランペットが醸し出すメランコリックな哀愁に尽きる。反復するリズムからユニゾンで始まるメロディ。すぐにマイルスのハイノートが炸裂し、実に刺激的な出だしである。原曲に忠実にテーマを奏でるマイルスのトランペットは、まるで歌っているようだ。突き抜けるようなトーンには、やはりHA-FW10000の設計の巧みさ、音質チューニングの上手さを感じずにはいられない。

メロウなアルトサックス・ソロから始まる<ダンシング・イン・ザ・ダーク>は、響きのナチュラルなリヴァーブ感が心地よい。HA-FW10000の響きのコントロールが奏功しているからこその再現力といっていいだろう。そっと和音を重ねていくピアノの素朴なトーンもよい。本曲のみ御大マイルスが加わらず、リーダー名義のキャノンボールのプレイが伸び伸びと冴え渡っている。

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