15 アレサ・フランクリン 「ヤング・ギフティッド・アンド・ブラック」 2018.June
本項がアップされる頃は、日本の本州以南はすっかり梅雨入りしているものと思われる。そうしたジメジメとした時期には、ダンサブルなソウル/ブラックコンテンポラリー・ミュージックを聴いて鬱陶しさを解消したい。“クィーン・オブ・ソウル”こと、アレサ・フランクリンの72年の大ヒット作「ヤング・ギフティッド・アンド・ブラック」を聴いてみよう。
米アトランティックレコードに在籍していた60年代後半から70年代末において全盛期を迎え、多くのヒットアルバムを生み出したアレサにとって、本作の位置付けはとりわけ大きい。特に71年にシングル盤として先行発売された「ロック・ステディ」は、そのグルーヴィーなリズムが内外のプロのミュージシャンからも高く評価されており、ベースとドラムを絡めたグルーヴのお手本とも称されているのである。
グラミー賞受賞は実に20回を数え、2011年に米ローリングストーン誌が発表した「歴史上最も偉大な100人のシンガー」の第1位に選ばれるほどの偉人、それがアレサ・フランクリンだ。
本作のマッシブかつ骨太なビートを余すところなく再現するのに、“SOLIDEGE 01 inner”「HA-FD01」がピッタリと思うのだが、今回は少し冒険をしてみたい。Bluetooth対応ワイヤレスオーディオレシーバー「SU-ARX01BT」を組み合わせてみるとしよう。
本アイテムは、ネックバンド・タイプのBluetoothレシーバー。SBC、AAC、aptXといった汎用コーデック方式に対応しているが、最大のセールスポイントは、JVCが長年培ってきた独自の高音質化技術「K2 TECHNOLOGY」の搭載だ。
「K2 TECHNOLOGY」とは、音楽信号の圧縮処理や伝送時に失われた情報を、ハイレゾ相当(192kHz/24bit)の情報まで復元する高音質化技術である。ワイヤレスでありながらワイヤードに迫る音質を実現しているという。
また、MMCX対応なので、同端子を採用した様々なタイプのイヤホンのコードと付替えが可能という点も頼もしい。
先行シングルにもなった「ロック・ステディ」は、コーネル・デュプリーのギター、チャック・レイニーのベース、バーナード・パーディーのドラム、ダニー・ハサウェイのオルガン、そして様々なパーカッションと、当時として極めて魅力的なリズム隊を従えてのダンサブルなナンバー。このどっしりとしたグルーヴ感溢れるビートは、まさしく鉄壁といえるものだ。HA-FD01が繰り出すそのダイナミクスは、ホーンセクションの分厚いアンサンブルとも相まって、とにかくパワフルな再現。思わず腰が動き出してしまう。
ビートルズ曲のカバー「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」でさえ、アレサにかかればゴスペル色豊かなソウル・ナンバーに化粧直しされる。黒人聖歌隊を従えたようなソロ/コーラスが印象的で、ビリー・プレストンのアーシーなオルガンの響きも加わって、まるで礼拝堂で歌われているような雰囲気。これがワイヤレス伝送かと思うほどに重厚なスケール感で迫ってくる。
とかく薄っぺらいと言われることの多いBluetooth再生だが、「K2 TECHNOLOGY」のような高音質化技術を活用すればまだまだ進化の余地はあると実感した。