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音楽の旅

VOL.
14
   クリーム 「カラフル・クリーム」 2018.May

クリーム 「カラフル・クリーム」
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本連載の前号にて、『三大ギタリスト』と称されたジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)を採り上げた。今回はその三大ギタリストの一人エリック・クラプトンがキャリアの初期に在籍したバンド、クリームのセカンド作「カラフル・クリーム」(原題/Disraeli Gears)を紹介しよう。

クリームは1966年にクラプトン(ギター、ヴォーカル)、ジャック・ブルース(ベース、ヴォーカル、ハーモニカ、ピアノ)、ジンジャー・ベイカー(ドラム)の3人の凄腕ミュージシャンによって結成されたスーパー・バンド。

ブルースとハードロックをベースに、サイケデリック・ロック、ジャズの要素も取り入れることで独自のスタイルを構築。当時活躍していたジミ・ヘンドリックスやレッドツェッペリンだけでなく、後のロックシーンに多大な影響を与えたとされる。

それゆえ史上最強のスリー・ピース・バンドと言われながら、各人の主張が度々衝突し、わずか2年半という短期間の活動に終わった。

クリーム 「カラフル・クリーム」

彼らの音楽の特徴は、ブルースを下敷きにしながら各人の高度なテクニックに裏打ちされたインプロビゼーションとアドリブによって千変万化したことだ。

それが玄人受けした所以でもあるが、67年11月リリースの「カラフル・クリーム」では、そうしたスタイルを推し進めると共に、サイケデリックな方向性がさらに強調され、時代の空気にマッチしたこともあって、イギリスのみならず、アメリカのチャートでも好調に推移して人気を決定づけた。本作からは2枚のシングルヒット「ストレンジ・ブルー」と「サンシャイン・ラブ」が生まれている。

では、クリームの楽曲を再生するのに求められるヘッドホンの資質とは何だろう。私が考えるそれは、彼らの技巧を丁寧に解きほぐす“解像力”ではと思う。そこでお薦めしたいのが、インナーイヤー型の「HA-FW02」だ。

高い解像力をキープするには、単に振動板の分解能だけでなく、微細なニュアンスやテクスチャーをしっかりと浮かび上がらせられるようドライバーユニット全体の振動対策が重要だ。

「HA-FW02」では、新型ウッドドーム振動板のリニアリティーの高さを『アコースティックピュリファイアー』でしっかりと受けとめ、『ウッドハウジング』や『メタルハーモナイザー』といった異種材料の組合せによって不要な振動を巧みに吸収、コントロールすることができている。

クリーム 「カラフル・クリーム」

クラプトンがリードヴォーカルをとる「ストレンジ・ブルー」は、サイケデリックな感じが色濃いナンバー。左チャンネルにギター、右チャンネルにドラムが配された、60年代末特有のステレオイメージで、その中央にヴォーカルとベースが鎮座する。楽曲の持つ特有の色合いとブルージーな雰囲気を「HA-FW02」が立体感を伴って再現する。

「サンシャイン・ラブ」はリードヴォーカルをブルースが務め、クラプトンはコーラスに回る。基本的な楽器配置は「ストレンジ・ブルー」と共通しているが、ベースとユニゾンを展開するクラプトンのギターがより疾走感を増している。エフェクター「ワウ」を多用したここでのギターリフは、ギター小僧永遠の憧れであろう。「HA-FW02」はその絶妙な フレージングを精巧に描写してくれる。

オーソドックスなビートと大胆奇抜なリフのミクスチャー。この時代のロック独特のそうした空気感を身近に感じられるのも、ヘッドホン・リスニングの醍醐味だ。

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